前立腺肥大の治療は薬?手術?迷わず選べる3つの基準

zenritu

「最近、トイレにいく回数が多くなった」「おしっこをしても、何だかスッキリしなくて残尿感がある」あなたにも心当たりはありませんか? その症状はもしかしたら「前立腺肥大症」かもしれません。最近、食生活の欧米化などの影響によって、年齢を重ねるとともに前立腺肥大になる男性が増えてきています。前立腺は男性の性機能にもかかわる重要な器官です。ここでは前立腺肥大の治療を薬で行うか、それとも手術を選択するか、その選択をするための「3つの基準」をお伝えしたいと思います。これであなたも、前立腺肥大になったとしても迷わずに治療を行うことができるようになります。

目次

1.前立腺肥大とは
1-1.前立腺肥大症
1-2.前立腺肥大で引き起こされる問題
1-3.前立腺肥大と前立腺がんの違い
1-4.前立腺肥大を薬で治すか、手術で治すか?

2.前立腺肥大の治療(1)薬による温存療法
2-1.前立腺肥大で投薬治療が選択される場合
2-2.前立腺肥大の治療で使われる薬の種類
2-3.前立腺肥大での投薬通院期間

3.前立腺肥大の治療(2)手術
3-1.前立腺肥大で手術が選択される場合
3-2.前立腺肥大の手術の種類
3-3.前立腺肥大手術の入院期間、費用

4.前立腺肥大の治療(3)投薬による温存療法、手術のメリットとリスク
4-1.前立腺肥大の薬による副作用
4-2.前立腺肥大の切除手術によるマイナスの悪影響
4-3.前立腺肥大の治療を決める3つの基準

5.まとめ

1.前立腺肥大とは

1-1.前立腺肥大症

前立腺は、男性だけにある膀胱に接した、くるみ大の生殖器官です。前立腺肥大症は尿の通り道(尿道)を押しつぶしてしまう(閉塞)病気です。膀胱は腎臓で作られた尿を貯める袋です。尿がたまると膀胱が膨らみ尿意を感じ、排尿の時には膀胱が収縮して尿を押し出します。

1-2.前立腺肥大で引き起こされる問題

具体的には、以下の様な問題が出てきます。

● 尿が近い
● 夜のトイレが多い
● 尿がもれそうになる
● 尿がもれてしまう

image00前立腺肥大症で尿道が押しつぶされていると、そのつぶれている部分に向かって、膀胱は一生懸命に尿を何とか押し出そうとします。すると膀胱には常に負担がかかり、筋肉も疲労していきます。疲れ切った膀胱の機能は日々悪化していき、残尿が増え、尿もれなどが起こってきます。前立腺肥大症は治すことができますが、いったん悪くなった膀胱はなかなか元に戻りません。膀胱機能障害が進行すると、全く尿が出なくなったり、腎不全になることもあります。

先ほどあげた症状が一般的な老化現象の範囲か、治療を要するものかは検査によって判断する必要があります。診断には「肥大の程度」「自覚症状の程度」「他の病気(前立腺がんなど)がないか」を確認することが大切になります。

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1-3.前立腺肥大と前立腺がんの違い

同じ前立腺の病気でも「前立腺肥大症」と「前立腺がん」は全く違う病気です。前立腺肥大症は良性腫瘍、前立腺癌は悪性腫瘍です。前立腺の内側(内腺)が肥大する「前立腺肥大症」は頻尿や排尿困難を起こし、自覚しやすい病気です。前立腺肥大症は、中年以降の男性に多く、50歳以上の2人に1人の割合でみられ、4人に1人が排尿の症状をおこします。

一方、主に前立腺の外側(外腺)にできる「前立腺がん」は自覚症状に乏しく発見が困難なことがあります。国立がん研究センターによる2015年がん罹患数(新たにがんと診断されるがんの数)予測が発表されました。男性で最も多いがんは「前立腺」とされ、次いで「胃」「肺」「大腸」となっています。1995年の罹患数では7番目であった「前立腺」が2014年には「胃」「肺」「前立腺」の順となり、その後も増え続け一番多いがんとなりました。ものすごい勢いで増えている状況です。ちなみに女性で最も多いのは、「乳がん」となっており、この傾向は数年来続いております。

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前立腺がんは早期に発見できれば根治が望めるものです。しかしながら、残念なことに未だに転移した状態で見つかるものが少なくありません。早期発見のためにはPSA検査(血液検査)が有用とされています。ところが、日本でのPSA検査受診率は低いのが現状です。50歳を過ぎたら1年に一度はPSA検査を受けましょう。自治体によって「前立腺がん」の早期発見を目的に、年齢に応じたPSA検査などの検査を無料ないしは自治体の一部負担で行っています。男性の方は一度検査されてみることをおすすめします。

1-4.前立腺肥大を薬で治すか、手術で治すか?

前立腺の大きさや症状の程度によって「経過観察」「薬物療法」「手術療法」が行われます。病院に来た時点であれば、排尿のトラブルをすでに持った状態で来院することがほとんどですので、それに関連する検査や問診を主に行います。

■一般的な検査

● 問診 排尿の症状やこれまでの病気などを詳しく聴きます。
● 検尿 腎機能の状態やがんの有無などを調べます。
● 血液検査 腫瘍マーカーの検査で前立腺がんと識別します。
● 超音波診断 尿の残量や膀胱などの様子を観察します。image03

■詳しい検査

● 尿流率測定 他覚所見として、排尿障害の程度を数値化して表します。
● 直腸診 前立腺の大きさ、硬さ、表面の状態を調べます。

■前立腺がんの検査

● PSA検査 一般的に血液によるPSA検査が用いられます。

PSA検査は採血のみの検査で、血液中にある前立腺に特異的なタンパク質の一種「PSA」の値を測定します。検査のなかで、もっとも精度が高く、簡単に受けることができます。PSA値は一般的に以下のように分けて判定されます。

 

4ng/ml 以下 陰性
4.1~10ng/ml グレーゾーン
10.1ng/ml以上 陽性

● 前立腺生検
PSA検査で数値が高い場合、確定診断として前立腺の一部を採取し、がん細胞の有無を検査します。

2.前立腺肥大の治療(1)薬による温存療法

2-1.前立腺肥大で投薬治療が選択される場合

前の章での検査を経て、前立腺の大きさや症状の程度によって「経過観察」「薬物療法」「手術療法」が行われます。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあります。ここではそれぞれの特徴について説明していきます。薬物療法では、以下の様な薬が使われます。

●「α1受容体遮断薬」
●「5α還元酵素阻害薬」
●「抗男性ホルモン薬」
●「植物エキス」「漢方薬」等

それぞれの特徴を見ていきましょう。

2-2.前立腺肥大の治療で使われる薬の種類

■「α1受容体遮断薬」

α1受容体遮断薬は、交感神経から伝わる刺激をブロックして、前立腺の緊張を緩めて、尿を出しやすくします。前立腺肥大によって排尿が難しい人に対して、一番広く使われている内服薬です。最近では前立腺肥大に伴う「過活動膀胱」が軽くなることも知られていて、尿道を拡張することでいわゆる
頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感など、残尿感の改善にも有効である
と言われています。

■「5α還元酵素阻害薬」

5α還元酵素阻害薬は、前立腺細胞の中でテストステロン(男性ホルモン)をジヒドロテストステロン(前立腺細胞の増殖に関係している強力な男性ホルモン)に変換する5α還元酵素の作用を抑えます。それにより、前立腺細胞の増殖を抑制し、その結果肥大した前立腺が縮小します。

新しいタイプの薬として注目されているのが、5α還元酵素阻害薬です。テストステロン(男性ホルモン)は酵素(5α還元酵素)によって活性化されるとジヒドロテストステロン(活性型男性ホルモン)に変化します。正常な生殖器官の発達にはこの両方のホルモンが不可欠ですが、肥大した前立腺にとってはこの活性型男性ホルモンは刺激が強いため、この5α還元酵素を出さない阻害薬を使用する事で、前立腺細胞の増殖を抑制し、肥大した前立腺を縮小させます。

■「抗男性ホルモン薬」

抗男性ホルモン薬は抗アンドロゲン剤とも呼ばれ、テストステロン(男性ホルモン)の作用を抑えることで、前立腺を小さくします。先ほどの5α還元酵素阻害薬と似ていますが、薬の効き方が異なり、精巣でテストステロンができるのを防ぎ、血液中のテストステロンが前立腺細胞に取り込まれるのも防ぎます。男性ホルモンを抑制するために、「性機能障害」が出るというデメリットが伴います。

■「植物エキス」「漢方薬」等

植物のエキスを薬にした生薬、そしていくつかの漢方薬が前立腺肥大の治療に使われることがあります。前立腺の炎症を抑えることが期待されます。

2-3.前立腺肥大での投薬通院期間

■「α1受容体遮断薬」

α1受容体遮断薬は、薬としては即効性があり、飲み始めてから1週間以内から効果が出てきます。前立腺を小さくする効果はありませんが、尿道を拡張することで前立腺からの圧迫を軽減するという症状改善効果と満足度が得られますし、継続的に飲み続けることによっての効果も期待されています。

■「5α還元酵素阻害薬」

5α還元酵素阻害薬を長期間連続で飲み続けることで、肥大した前立腺が縮小して、排尿困難の症状を改善します。1年の内服でおおよそ25~35%程度前立腺サイズが小さくなることが知られていますが、先ほどのα1受容体遮断薬とは違い即効性はありません。ゆっくり効果が出る薬なので、長期間の内服が必要になります。

前立腺が大きい場合、α1受容体遮断薬による治療で効果が不十分な場合には、α1受容体遮断薬と5α還元酵素阻害薬を同時に使うことが有効になります。

■「抗男性ホルモン薬」

抗男性ホルモン薬は16週間投与しても、期待された効果が得られない場合は、漫然と続けない方がよいとされています。また、ホルモンを投与前、投与中には、前立腺がんになっていないかどうかの評価を行うことが重要です。

■「植物エキス」「漢方薬」等

生薬や漢方は、即効性はありませんし、効き方にも個人差があるようですが、多くの場合は長期にわたる投薬が行われます。

これらの薬による治療は、薬の効果や副作用に個人差があるため、医師のもとで行われます。詳しくは主治医にご相談ください。

3.前立腺肥大の治療(2)手術

3-1.前立腺肥大で手術が選択される場合

薬物療法では改善が望めないと判断された場合は、手術が選択されます。手術では以下の様な選択が取られます。

● 開腹(解放)手術
● PVPレーザー前立腺蒸散術
● 経尿道的前立腺切除術(TURP)
● ホルミウムレーザー前立腺核出術(HoLEP)

現在、前立腺肥大の手術は開腹せずに行うものが一般的です。この場合、腹部には全く傷がつかず、術後の痛みも軽いので、入院期間も短くて済みます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

3-2.前立腺肥大の手術の種類

■ 開腹(解放)手術

下腹部を切って行う手術です。出血が多くなることがあるので、自己血を含めた輸血を用意して行うこともあります。内視鏡手術ができない、比較的大きな前立腺肥大に適応されます。

■ 経尿道的前立腺切除術(TURP)

世界的に最も多く行われている手術です。約80年の歴史があり信頼度は高いと言えます。しかしながら出血が多く、大きな前立腺には適しません。合併症と術後の痛み、入院期間の長さ、コストなどの問題があります。

■ PVPレーザー前立腺蒸散術

比較的新しい手術で、出血が少なく身体への負担が軽いのが特徴です。また、今まで手術を受けることが難しかった血液の抗凝固剤を飲んでいる方でも手術を受けることが可能になりました。しかしながら大きな前立腺には適さず、術後尿閉(尿が出なくなる)の合併症があります。

■ ホルミウムレーザー前立腺核出術(HoLEP)

約16年前に登場した手術です。出血が少なく、術後の痛みもかなり少なく、安全性が高いのが特徴です。ホルミウムヤグレーザーという種類のレーザーを当てて、肥大した部分を外腺から切り離します。どんな大きさの前立腺にも対応が可能です。

3-3.前立腺肥大手術の入院期間、費用

■ 開腹(解放)手術

お腹を切っての手術のため、どうしても入院期間が他の手術よりも長くなります。おおむね2~3週間前後です。保険が適用され、3割負担ですので、一般的に費用は約30万円前後です。

■ 経尿道的前立腺切除術(TURP)

合併症と術後の痛み、入院期間の長さ、コストなどの問題があります。入院期間は10日間前後です。こちらも保険が適用され3割負担です。費用は開腹手術とほぼ変わらず約30万円前後です。

■ PVPレーザー前立腺蒸散術

比較的新しい手術で、出血が少なく身体への負担が軽いのが特徴です。入院期間は4~5日程度です。費用はだいたい15万円前後です。LBOレーザーは保険適用です。

■ ホルミウムレーザー前立腺核出術(HoLEP)

おなかを切らずに、前立腺をひとかたまりとしてくり抜きます。出血も少なく術後の痛みも少ないので、入院期間も3~4日と短期で行えます。費用は従来TURPよりも半分~3分の2程度で済みます。費用はこちらも15万円前後です。保険適用外です。

4.前立腺肥大の治療(3)投薬による温存療法、手術のメリットとリスク

4-1.前立腺肥大の薬による副作用

■「α1受容体遮断薬」の副作用

α1受容体遮断薬はα受容体を遮断することで血管を広げる事で血圧を下げる降圧薬です。たちくらみ(起立性低血圧)などの副作用を起こしやすいので注意が必要です。

その他の副作用としては、交換神経系を抑制することで順調な降圧効果がみられますが、逆に副交感神経が優位となるため、「めまい」「下痢」「射精障害」などが起こる場合があります。また、α1受容体遮断薬を飲んでいる人が白内障の手術中に目の器官の一つである「虹彩(こうさい)」が柔らかい状態になることがあるため、手術の場合は眼科医にα1受容体遮断薬を飲んでいることを伝える必要があります

■「5α還元酵素阻害薬」の副作用

5α還元酵素阻害薬は抗男性ホルモン薬などと違い、血液中のテストステロン(男性ホルモン)を減少させることがありません。理論上は性欲減退や勃起障害などの副作用は少ないと言われています。

5α還元酵素阻害薬によって、前立腺の大きさに左右されるPSA(前立腺がんの腫瘍マーカー)の値も低下させる可能性があります。しかしながら前立腺の大きさに左右されない前立腺がん遺伝子3(PCA3)値は5α還元酵素阻害薬の影響を受ける可能性もあります。前立腺がんを見逃さないように、この薬の投与前、投与中はPSAの値の測定と同時に前立腺がんにも気を配ることが必要になります。

■「抗男性ホルモン薬」の副作用

抗男性ホルモン薬は、肥大した前立腺を小さくして、排尿困難な状態を改善します。しかし、テストステロンの量が減るために、かなりの確率で勃起障害や性欲低下などの性機能障害の副作用がみられることがあります。

この抗男性ホルモン薬を16週間投与しても期待された効果が得られない場合は、漫然と続けない方がよいとされています。また、5α還元酵素阻害薬と同じように、血液中のPSAの値を低下させることがあるので、前立腺がんの発症には気を配るようにします。

■「植物エキス」「漢方薬」等

上記の薬のような劇的な効果がすぐにあるわけでもありませんが、副作用のようなものも少ないと言われています。前立腺肥大のサプリメントでよく知られているのがノコギリヤシの実のエキスです。ノコギリヤシは北アメリカ原産の背の低いヤシの一種で、葉がのこぎりのようにギザギザしているためにこう呼ばれています。ノコギリヤシは5α還元酵素の働きを抑制することが知られています。

4-2.前立腺肥大の切除手術によるマイナスの悪影響

■ 開腹(解放)手術

開腹手術は下腹部を切るので、前立腺の大きさを問わず行うことができますが、出血のリスクが伴います。もしもの場合を考えて、自己血を含めた輸血を用意して行うこともあります。術後の入院期間も他の手術に比べ長くなります。

■ 経尿道的前立腺切除術(TURP)

経尿道的前立腺切除術も開腹手術と同様に出血が多く、しかも大きな前立腺には適さない手術です。術中、術後には以下の様な合併症の可能性があります。

● 術中の出血による低血圧→輸血で対処します
● 低ナトリウム血症による一時的な意識障害や嘔吐→ナトリウムの補充、利尿剤の使用
● 切除部位からの再出血(術後2~3週間以内が最も多い)
● 逆行性射精(射精の際、精液が膀胱へ戻ってしまうこと。身体に影響はありません)
● 性欲減退(いわゆるインポテンス)
● 尿道狭窄や膀胱頚部硬化症(膀胱の出口が狭くなること)

こうした合併症の他にも、術後の痛み、血尿、入院期間の長さとそれに伴うコストの問題があります。

手術前には通常の検査(血液・尿検査、胸部X線、心電図、肺機能検査)のほか、前立腺の大きさ、腎臓の機能、超音波検査(尿道狭窄の有無)、尿路造影レントゲン検査等が行われます。また、膀胱や尿道の機能を正確に診断するために、尿流量測定、膀胱内圧測定、圧流量検査などが追加されることもあります。

■ PVPレーザー前立腺蒸散術

PVPレーザー前立腺蒸散術では、前立腺の組織を蒸散(組織に高熱をあたえ、組織中の水分を瞬時に沸点に到達させて蒸発させ組織を気化して飛ばすこと)させるため、組織が採取できないことが難点と言われています。切開手術に比べると出血量や痛みは格段に少なくなりますので、術後の身体の回復も早いと期待されます。

前立腺肥大症自体は良性の病気ですが、まれに悪性の前立腺がん細胞が発見されることがあります。そのため、PVPレーザー前立腺蒸散術の前にはPSA検査(腫瘍マーカー検査)で値を調べます。前立腺がんが疑われる方には別に組織を採取し、手術後も定期的にPSA値を確認するなど、経過を観察して対応します。

射精機能への影響としては、射精液が膀胱側に流れる逆行性射精があるのと、大きな前立腺肥大には適さず、術後尿閉(尿が出なくなる)の合併症があります。

ホルミウムレーザー前立腺核出術は出血や術後の痛みもかなり少なく、止血しながら肥大部分を丸ごとくりぬいて取り除いてしまうという安全性の高さが特徴です。しかしながら、切り取った組織を膀胱に入れて砕くため、膀胱憩室(けいしつ。膀胱の壁の一部に弱い部分があると、その部分が膀胱外に突出してしまうこと)がある人は適しません。また膀胱で組織を砕いて吸引する際に膀胱を傷つけるリスクもわずかではありますが存在します。

ですが適応の範囲が広く、入院期間も3~4日に短縮される点で、将来は標準治療になると言われており、実際アメリカをはじめ、海外では主流になっています。現在では日本でも保険適応となっています。

4-3.前立腺肥大の治療を決める3つの基準

前立腺肥大の治療を決めるのは担当医の仕事ですが、以下の様な流れで行われます。

(1)基本的評価

前立腺肥大症が疑われる50歳以上のすべての男性に対して、以下のような情報をもとに最初の評価を行うよう日本泌尿器科学会認定専門医(専門医)を中心にガイドラインが制定されました。

● 病歴
● 身体所見(直腸指診、神経学的検査)
● 尿検査(尿検査、尿流測定、残尿測定)
● 腎臓機能評価(血清クレアチニン測定)
● 前立腺特異抗原(PSA)測定(前立腺癌の除外診断のためにも行うことが望ましいとされています)
● 前立腺超音波測定

(2)排尿障害症状の定量的評価

排尿障害の度合いを、国際前立腺症状スコア(I-PSS)、QOLスコアによる症状評価を行い、重症度を「軽症」「中等症」「重症」で判定します。最近1ヶ月の間、排尿後に残尿感がありますか、というような自覚症状の確認から、夜間に何回トイレに行くかという生活記録などを質問形式で回答し、スコアを出します。

この評価で中等症または重症と評価された患者さんには、さらに排尿機能、前立腺形態、腎機能検査等により評価を行います。

(3)排尿機能、前立腺形態の評価

排尿機能の評価
● 尿流率測定と残尿測定
● 前立腺形態の評価には超音波断層法による前立腺容積の測定が標準的

前立腺腫大の状態の客観的評価
前立腺の容積測定と詳細な内部構造の観察に優れています。一般的な経腹壁的超音波断層法でも、前立腺の容積測定と膀胱・前立腺の形態の観察は可能

I-PSSによる評価で中等症または重症と評価された患者さんに、さらに排尿機能(最大尿流率、残尿測定)、前立腺形態(直腸指診、経腹壁的超音波断層診断法)の検査を行い、重傷度を評価します。

しかしながらこれらの評価は自分自身では行えないので、担当医による検査をお願いするようにしましょう。

5.まとめ

いかがでしたか? 前立腺肥大は良性の腫瘍なので、早めの治療をすれば命にかかわることはほとんどありませんし、適切な治療をすれば頻尿や残尿感は改善されますし、治療後も変わりなく生活を送ることができます。

ぜひ、適切な治療を受けて、毎日を元気に過ごして下さい。

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