前立腺肥大、前立腺がんの検査は痛くない!5つの検査法

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「最近、トイレにいく回数が多くなった」「おしっこをしても、何だかスッキリしなくて残尿感がある」そのような方は「前立腺肥大症」かもしれません。ですがこうした方の中には「いや、もしかして前立腺がん!?」とお悩みの方もいると思います。ここでは、前立腺肥大症、前立腺がんが疑われる時に、どのような検査が行われるかについてお伝えします。「もしかしたら検査が痛いのでは…?」「時間がかかるのでは?」という方も、これを読めば安心して検査を受けていただけるはずです。

1.前立腺肥大とは

1-1.前立腺肥大症

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前立腺は、男性だけにある膀胱に接した、くるみ大の生殖器官です。前立腺肥大症は尿の通り道(尿道)を押しつぶしてしまう(閉塞)病気です。膀胱は腎臓で作られた尿を貯める袋です。尿がたまると膀胱が膨らみ尿意を感じ、排尿の時には膀胱が収縮して尿を押し出します。

1-2.前立腺肥大で引き起こされる問題

具体的には、以下の様な問題が出てきます。
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・尿が近い
・夜のトイレが多い
・尿がもれそうになる
・尿がもれてしまう

前立腺肥大症で尿道が押しつぶされていると、そのつぶれている部分に向かって、膀胱は一生懸命に尿を何とか押し出そうとします。すると膀胱には常に負担がかかり、筋肉も疲労していきます。疲れ切った膀胱の機能は日々悪化していき、残尿が増え、尿もれなどが起こってきます。前立腺肥大症は治すことができますが、いったん悪くなった膀胱はなかなか元に戻りません。膀胱機能障害が進行すると、全く尿が出なくなったり、腎不全になることもあります。

先ほどあげた症状が一般的な老化現象の範囲か、治療を要するものかは検査によって判断する必要があります。診断には「肥大の程度」「自覚症状の程度」「他の病気(前立腺がんなど)がないか」を確認することが大切になります。

1-3.前立腺肥大と前立腺がんの違い

同じ前立腺の病気でも「前立腺肥大症」「前立腺がん」は全く違う病気です。前立腺肥大症は良性腫瘍前立腺癌は悪性腫瘍です。前立腺の内側(内腺)が肥大する「前立腺肥大症」は頻尿や排尿困難を起こし、自覚しやすい病気です。前立腺肥大症は、中年以降の男性に多く、50歳以上の2人に1人の割合でみられ、4人に1人が排尿の症状をおこします。

一方、主に前立腺の外側(外腺)にできる「前立腺がん」は自覚症状に乏しく発見が困難なことがあります。国立がん研究センターによる2015年がん罹患数(新たにがんと診断されるがんの数)予測が発表されました。男性で最も多いがんは「前立腺」とされ、次いで「胃」「肺」「大腸」となっています。1995年の罹患数では7番目であった「前立腺」が2014年には「胃」「肺」「前立腺」の順となり、その後も増え続け一番多いがんとなりました。ものすごい勢いで増えている状況です。ちなみに女性で最も多いのは、「乳がん」となっており、この傾向は数年来続いております。
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表:国立研究開発法人 国立がん研究センター発表

前立腺がんは進行が比較的ゆっくりなため、早期に発見できれば根治が望めるものです。しかしながら、残念なことに未だに転移した状態で見つかるものが少なくありません。早期発見のためには、後ほど説明するPSA検査(血液検査)が有用とされています。ところが、日本でのPSA検査受診率は低いのが現状です。50歳を過ぎたら1年に一度はPSA検査を受けましょう。自治体によって「前立腺がん」の早期発見を目的に、年齢に応じたPSA検査などの検査を無料ないしは自治体の一部負担で行っています。男性の方は一度検査されてみることをおすすめします。

2.前立腺肥大の検査方法

2-1.問診・検尿

前立腺肥大症の診断では、まずは問診によって、排尿の症状やこれまでの病気などを詳しく聞かれます。行われる問診では「国際前立腺症状スコア(IPSS)」という、患者の自覚症状を聞いて評価する方法が取られます。IPSSは、排尿症状についての7項目の質問を6段階で評価し、合計点によって治療方針を決めたり、治療効果を判定したりします。

■IPSS

Q1:過去1カ月間、排尿後に尿がまだ残っている感じがありましたか。
Q2:過去1カ月間、排尿後2時間以内にもう1度行かねばならないことがありましたか。
Q3:過去1カ月間、排尿途中に尿がとぎれることがありましたか。
Q4:過去1カ月間、排尿をがまんするのがつらいことがありましたか。
Q5:過去1カ月間、尿の勢いが弱いことがありましたか。
Q6:過去1カ月間、排尿開始時にいきむ必要がありましたか。
Q7:過去1カ月間、床に就いてから朝起きるまで普通何回排尿に起きましたか。

上記の質問に対し、それぞれに該当する回数を6つの段階から選びます。
・なし=0点
・5回に1回未満=1点
・2回に1回未満=2点
・2回に1回位=3点
・2回に1回以上=4点
・ほとんどいつも=4点

Q7に対しては、具体的な回数が点数となります(5回以上は5)。合計点で0~7点が軽度、8~19点が中程度、20点以上が高度(重症)と判断されます。

それと同時に、尿検査によって

・尿の濁り
・腎機能の状態
・血尿の有無
・尿路結石、腎結石の有無
・尿路感染症の有無

などを、肉眼や顕微鏡によって検査をします。

2-2.尿流率測定

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尿の勢い(1秒間にどれくらいの尿が排出されるか)、排尿量排尿時間などを調べます。現在では、トイレ型の検査機器に排尿すると、自動的に数値化されて尿の出方がグラフで示されます。これによって簡単に排尿障害のあるなしや程度を調べることができます。

2-3.直腸診

PSAは前立腺から分泌される特異なタンパクです。前立腺がんだけではなく、前立腺肥大症や前立腺炎がある場合も、正常値を超えて上昇するため、血液中のPSA濃度を測定することで、前立腺がんと関係しているかの判断に非常に役に立ちます。この検査は採血だけという非常に簡単な検査にもかかわらず精度の高い結果が得られますので、前立腺関連のスクリーニング検査では必ず行われると言ってよいでしょう。

4ng/ml 以下 陰性(正常値)
4.1~10ng/ml グレーゾーン
10.1ng/ml以上 陽性

4~10ng/mLの上昇はグレーゾーンと言われ、前立腺癌以外に、前立腺肥大症や前立腺炎でも見られることがあります。

2-4.超音波診断

前立腺肥大の検査と言うと、尿道から何かの管を入れると思うかもしれません。実際は肛門から直腸に指を入れ、前立腺に触れる直腸診による触診で行われます。この触診によって、前立腺の形や硬さ、痛みの有無を調べます。この検査は比較的簡単に済む上、ガンなど他の病気の兆候を確認できる有用な検査方法です。

<直腸診 診察法>

●診察台の上で横向きにひざを曲げて寝ます。(受信浣腸などを使用して排便・排尿をすましておきます。)
●医師の触診時は、軽く口を開き、肩の力を抜いて、排便するように軽くいきむと、肛門の筋肉が緩み、指を挿入しやすくなります。
●診察そのものは1-2分で終了します。医師は薄い手袋をつけて、指先には円滑剤を塗った後、指を肛門に挿入します。必要以上に力を入れてしまうと痛みますから、リラックスするように心がけましょう。

<前立腺に炎症がある場合>

触診で強い痛みがあります。また、これは前立腺肥大症以外の疾患をチェックするのにも重要な検査となります。前立腺がんがあると硬い腫瘤(しゅりゅう)が確認されます。前立腺肥大、前立腺がんの他にも、直腸がん、直腸ポリープ、痔などの診断にも有効とされています。

2-5.血液検査(PSA検査)

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超音波検査装置(Echo:エコー)による検査です。痛みはなく、より正確な診断をする為の装置です。前立腺の大きさを計測して、肥大の度合いを見ます。超音波による検査は、超音波を発信する装置を下腹部からあてる経腹超音波検査もありますが、前立腺はお腹の上からだと見えにくい場所にありますので、より近くから画像解析できる経直腸的超音波検査といって、肛門から挿入する方法が多く行われます。直腸内の触診では正確な前立腺サイズの評価は難しいのですが、超音波検査によってより正確に前立腺のサイズを確認することができます。

参考画像 http://www.zenritsusen.jp/diagnosis/ より

2-6.検査の費用、所要時間

ここまでご説明してきた通り、検査の方法は採血や超音波、尿検査やレントゲン、前立腺の触診など、様々あります。どれもそれほど大変なものではないので、安心して受けていただけます。費用は数千円程度がほとんどですので、それほどの負担にはなりません。

血液検査(PSA検査)も、普段受診していない診療科にわざわざ行く必要はありません。かかりつけ医で受けることができますので、主治医に相談してみると良いでしょう。なお、前立腺がんの疑いでPSA検査を受ける場合は、保険診療となります。

自覚症状などがなく、検診の一環として受ける場合は、自費診療となります。人間ドックなどのオプションでPSA検査を受ける場合の費用はおおむね2,000円~3,000円、自治体の前立腺がん検診では無料の地区もありますが、500円~2,000円程度の自己負担を設定しているところもあります。

また、結果が出るまでの期間は施設により異なります。その日のうちに分かるところもありますが、1週間程度かかることが多いでしょう。

3.前立腺がんの疑いがある時の検査方法

3-1.PSA検査

前立腺がんは、初期では自覚症状がほとんどなく、症状が出た頃にはかなり進行していて治療が難しくなります。しかし、比較的進行が遅いといわれていますので、早期に発見すれば高い確率で根治が可能です。
PSA検査ができる前は転移がんで見つかるものが60%あったのに対し、導入後は約10%に下がっています。このPSA検査の普及で、早期にがんを発見することができるようになりました。しかもPSAは血液検査で手軽に行えます。

なお、PSAの値は次の場合にも高くなることがあります。

・前立腺肥大症
・前立腺の炎症
・外部からの刺激(針生検や手術などの治療で前立腺が傷つけられた時など)
・射精時

前立腺がんを見つける手段として、50歳を過ぎたら1年に1回程度、定期検診を受けると良いでしょう。また、直系の家族(父または兄弟)に前立腺がん患者がいる場合は、若年で発症するというデータもあるので、その場合は40歳を過ぎたら一度検査を受けることをお勧めします。

3-2.直腸診

医師が患者さんの肛門から直腸に指を入れ、腸の壁越しにおなか側に前立腺を触ります。前立腺の大きさや表面の凹凸、硬さ、弾力性、押した時に痛みがあるかどうかなどを調べます。

正常な前立腺はクルミほどの大きさで、弾力があり、表面は滑らかです。がんができていると、前立腺にしこり(硬結)が触れ、進行すると大きく、表面がごつごつして、石のように硬くなっています。前立腺肥大症の場合も前立腺は大きくなりますが、表面は滑らかで弾力があるので、がんと区別することができます。

前立腺がんの中には、PSA検査では検出できないものもありますが、そのようながんも、直腸診を行うことで発見されることがあります。PSA検査と直腸診を併用することで、前立腺がん発見の精度をより高めることができます。

検査方法は上述した内容と同じです。

3-3.前立腺生検

直腸から特殊な検査器具を入れ細い針で体の組織を10箇所程度採取します
採取した組織を顕微鏡で確認し、がんが存在することが確認された時点で初めて、前立腺がんと診断されます。

前立腺がんが認められた場合は、細胞の形や配列を調べます。これによって、がんの悪性度(がんの進行具合)、大きさなどが分類されます。

4.まとめ

いかがでしたか? 前立腺肥大の検査は基本的には痛みなどはなく、保険が適用されればそれほどの費用はかかりません。検査を受けて正常であることがわかれば、安心することもできるのですから、検査を受けない理由はありません。

ぜひ、早いうちに検査を受けて、毎日を元気に過ごして下さい。

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