過活動膀胱は病気?心の問題?3つの原因とその対策

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「1日に8回以上トイレに行く」「突然の強い尿意があって我慢ができない」「尿失禁(尿もれ)がある」あなたはそんなことはありませんか? 旅行や映画、楽しいことは沢山ありますが、「トイレが近くて楽しめない」ことはないですか? もしそうなら、あなたは「過活動膀胱」の可能性があります。ここでは、この過活動膀胱という症状が引き起こされる原因と、その対策についてお話ししたいと思います。これを読んで適切な対策ををして、トイレが近いことの恐怖を払拭してください。

1.過活動膀胱とは

1-1.トイレが近いのは過活動膀胱のせい?

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過活動膀胱とは、膀胱が過敏になり、制御できない異常な動きを膀胱が起こすことによって起こります。40歳以上の男女8人のうち1人がこれらの症状を持っていて、患者数は、日本で約810万人にのぼると推定されています。 症状としては、頻尿(オシッコの回数が多い)、尿意切迫感(急激にくる尿意)、尿失禁(突然のもれ)などの症状が出ます。

1-2.過活動膀胱による悪影響

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過活動膀胱は男性だけではなく女性にも起こってきます。大きくは尿を貯める役目がある膀胱が硬く、過敏になることが原因です。 ひどくなると「尿が漏れる(尿失禁)」「ゆっくり眠れない」「お腹が痛む」などが起こってくる場合もあります。特に「尿失禁」は徐々に悪化することが多く、ひどくなると尿モレパッドやオムツを使用しなければならない事態に至ることもあります。

長寿大国日本と言われていますが、女性の平均寿命は世界一。男性は世界4位で過去最高を記録しています。そんな中、大人用おむつの販売数が赤ちゃん用おむつを抜いています。特に排尿(尿もれ)に関する需要が増加していて、軽度尿失禁用の吸収パンツから重度尿失禁用の大きなサイズのものまで品揃えも豊富になっています。

今現在、少量でも尿失禁(尿もれ)がある方は「おむつなんか関係ない!」などと言わず、早めに何らかの対策をする必要があります。おむつになった方の多くは最初「極少量」の尿失禁(尿もれ)から始まっています。尿失禁(尿もれ)のタイプを診断し、早めの治療を行うことによっておむつのいらない生活に戻ることもできます。

1-3.オシッコに関する「2時間の壁」とは?

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排尿の間隔が余裕を持って2時間もたないと様々な行動が制限されます。バス旅行、舞台観劇、映画など、2時間を一区切りとするものが多くあるからです。これを医療関係者の間では「2時間の壁」と呼んでいます。
あなたも「オシッコが心配だから」と 、旅行や観劇などをあきらめてしまうことはありませんか? 頻尿(オシッコの間隔が2時間もたない)は、積極的に外出する機会を奪い、生活を消極的でストレスの多いものにしてしまい、生活の質(QOL)を低下させることがあります。image00そもそも何度もオシッコに行くことや、オシッコを我慢するのが辛かったり、突然来る強い尿意にいやになるという方も多いと思います。では、これらは何によって引き起こされているのでしょうか?

2.過活動膀胱の原因

2-1.過活動膀胱の大きな原因その1―膀胱虚血(ぼうこうきょけつ)

過活動膀胱は、膀胱の血の流れの低下が原因の一つとされています。これを膀胱虚血(ぼうこうきょけつ)と呼びます。膀胱内にある「C繊維」と呼ばれる神経が、血流低下(膀胱虚血)の状態になると刺激され、過活動膀胱の症状を起こすことが最近わかってきました。この状態になると、尿をゆっくりと大きく膀胱に貯めることができなくなります。
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この膀胱の血流低下の原因の一つに「動脈硬化」が挙げられます。 動脈硬化とは、血管の弾力性が失われて硬くなったり、動脈内にさまざまな物質が沈着して血管が狭くなり、血液の流れが滞る状態をいいます。膀胱がこの状態になると大きくゆっくりと動けなくなり症状が出現します。動脈硬化は過活動膀胱だけではなく、脳卒中や心筋梗塞、男性ではEDを起こす原因とも言われています。

動脈硬化は年齢、運動不足、肥満(メタボ)などで進むと言われています。これらは高血圧、脂質異常症(高コレステロール血症)、高尿酸血症によって引き起こされます。そうならないように、こまめな水分摂取と適度な運動は必須といえます。

2-2.過活動膀胱の大きな原因その2―骨盤底筋のゆるみ

過活動膀胱による切迫性尿失禁と腹圧性尿失禁の両方の症状がみられる方もいます。

切迫性尿失禁は、急激に我慢できないほどの尿意をもよおし、トイレに行っても間に合わずに漏れてしまう症状です。

腹圧性尿失禁は、骨盤底筋の緩みから突然立ち上がる、笑う、などお腹に力が入った際に少しずつ尿漏れしれしまう症状です。

骨盤底筋とは骨盤の底にある筋肉の集まりで、膀胱や直腸などの内臓を下から支えます。この筋肉が尿道や肛門を締める働きをしてくれます。しかし骨盤底筋が緩くなると、膀胱と尿道の力のバランスが崩れ、咳やくしゃみ、軽い運動などでおなかに力がかかると(腹圧)、尿が漏れてしまう事が起こるのです。

腹圧性尿失禁の起こりやすい状況

・咳をする、くしゃみをする、笑う
・走る、テニスやゴルフなどのスポーツをする
・重い物を持ち上げる
・坂道や階段を昇り降りする

2-3.過活動膀胱の大きな原因その3―前立腺肥大の併発

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前立腺肥大症は尿の通り道(尿道)をつぶしてしまう(閉塞)病気です。前立腺肥大症は50歳以上の男性に多くみられ、年齢とともに進行し(慢性進行性)、自然に治癒(治る)することは無いといわれている厄介なものです。 尿を押し出す役目は膀胱が担います。膀胱も筋肉でできていて、身体の他の部分と同じように、筋力(押し出す力)は年齢とともに弱くなっていきます。

上手く排尿するには2つのことが必要になります。

・尿の通り道(尿道)が開いていること
・尿を押し出す力(排尿圧)がしっかりあること

50歳を過ぎると、「通り道は狭くなり、押し出す力が弱くなる」状態となります。前立腺肥大症で通り道が狭くなると、膀胱に過度の負担が掛かり硬く緊張した状態となり、過活動膀胱を併発することがあります。まさに排尿にとってはダブルパンチで、悪いことにお互いに足を引っ張り合ってしまうのです。

この悪循環が長く続くと、排尿の問題ばかりではなく、「熟睡できない」「イライラする」「いつもトイレが心配」等から自律神経もダメージを受けて、身体の不調を多く抱えることになります。

3.過活動膀胱の対策3つ

3-1.膀胱訓練を行う

膀胱訓練とは、計画的に尿を我慢して、膀胱にたまる尿の量を少しずつ増やし、排尿回数を減らす方法です。 オシッコの回数が多い頻尿の方が、排尿間隔を2~3時間にすることを目指します。以下の様な手順です。

1. 肛門や尿道に力を入れてぐっと 尿を我慢する。
2. 排尿以外のことを考えたり、深呼吸をして尿意を紛らわせる。
3. 尿を我慢する時間を5分、10分と計画的に少しずつ延ばしていく。
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オシッコに行きたいと思ったら、 5分、10分と少し我慢してみます。 その間は別の事を考えるなどして気を紛らわせます。ちなみにこれは、家の中などいつでもオシッコに行ける環境の中で行ってください。

この膀胱訓練を行う際には、3つのポイントがあります。

~ポイント~

1. 家の中で、少しずつ始めましょう。
2. 1日に1000ml ~ 1500mlの水分を摂取しましょう。
3. 3ヶ月は続けましょう。

膀胱訓練に適している人は、以下の様な方です。

「少しの尿意ですぐにトイレに行く」
「何かに熱中していれば大丈夫だが、 そうでないとすぐにトイレに行きたくなる」
「尿量が極端に少ない」

膀胱訓練は、頻尿、神経性頻尿、過活動膀胱の軽症の方に対しての行動療法として広く行われています。実際にこの方法を試して、約6割の方が「オシッコの回数が減った」と、高い有効率を示しています。気になる方は是非試してみて下さい。

※膀胱訓練に向いている症状の方
頻尿の方、膀胱にたまる尿の量が少ない方に適しています。
軽量カップで1回分の尿を採取し、確認する事ができます。
通常1回の尿量は成人男性で300-400ml、成人女性で200-300mlが目安となります。

感染症や前立腺肥大症の場合は医師の診察を受け、ご自身の症状の原因を理解した上で意思の指導に従って行ってください。

3-2.骨盤底筋訓練を行う

骨盤底筋を鍛えると、オシッコの「2時間の壁」を超えるのにも役立ちます。やり方は簡単で、「おしり(肛門)を10秒ほどグッと締める」だけです。これを1日に何回も(10回くらい)行います。

筋肉量の多い人は尿失禁が少ないと言われていて、特に「骨盤底筋体操」は、膀胱周囲の筋肉を鍛えるばかりではなく、神経を活性化して安定した排尿をもたらすと言う結果が出ています。体勢は、以下の手順で行います。自分に合った体勢で行いましょう(下図参照)。

①身体の力を抜き、オシッコをガマンしている時をイメージして肛門をキュッと締める。
 (5秒)
 ○女性は膣も締める感覚で。
 ○男性は慣れるまでは肛門を締め、わかるようになれば、
  肛門と尿道をおなかの中に上げるような感じで。

②ゆっくりと肛門と膣をゆるめる。 (5回×3セット/1日)
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体操によって効果が現れる目安は、3週間~8ヶ月とまちまちです。 体操回数は、筋力の状態で異なります。毎日根気強く続けてみましょう。

3-3.適度な筋肉トレーニング(筋トレ)

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症状の程度に関わらず有効なことは「運動=筋肉トレーニング(筋トレ)」です。過活動膀胱は膀胱の虚血(血の巡りが悪い)により起こるとされています。筋トレを行うことにより、血管が若返り動脈硬化の改善・予防につながります。 筋肉の60%は下半身にあるため、スクワットなど大腿を鍛えることが効率的に効果をもたらすようです。無理なく始めて見てはいかがでしょうか。また、症状が軽い方は、下腹部の保温(腹巻やカイロなど)で軽快する場合もあります

3-4.病院にかかる前に排尿記録を

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過活動膀胱の治療は、体操や電磁波治療、内服薬などがあります。薬は症状が重い方のためのものです。膀胱を柔らかくし、ゆったりと動くようにするためのお薬です。

診断は医師による問診と排尿検査でできるのですが、「排尿記録」をつけていただくと、より詳しく過活動膀胱の程度と内容がわかります。排尿記録には、以下のような情報を記載します。

【排尿記録】
・24時間の排尿時間と排尿量
・就寝時間と起床時間
・尿失禁(尿漏れ)の有無
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排尿記録をつけるのは、仕事のある日でなくてもかまいませんので、休みの日などを利用して記録してみることをオススメします(仕事の日に過活動膀胱の症状が出る方もいますので、そのような方は仕事の日の記録と両方をつけるのがベターです)。泌尿器科によっては「排尿記録セット」を用意していますので、まずは泌尿器科を受診するのも最善です。

4.まとめ

いかがでしたか? 過活動膀胱になると、普段の生活にも支障をきたしますし、レジャーや趣味など、今まで楽しめたことも楽しめなくなってしまいます。

それでも早めに適切な処置をすれば薬に頼ることもなく改善できますし、心配であればお近くの泌尿器科で治療を受ける事で原因を知り、治療を開始できます。

ぜひ、このページでお伝えしたことを参考に、毎日を元気に過ごして下さい。

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