50歳を過ぎたら知っておきたい夜間頻尿の原因と対策3つ

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「最近寝ているとトイレに3~4回起きて眠れない」「昼間眠いので、昼寝で補わないと追いつかない」あなたはそんなことはありませんか? 実は泌尿器科の受診理由のトップは「夜間頻尿」です。夜に何度もおしっこで起きてしまって、快適な睡眠が得られないという悩みは多くの人が持っているようです。ここでは、夜に何度もおしっこに起きてしまうことに原因とそれによって引き起こされる様々な身体の不調についてお伝えして、その対策についてもお話ししたいと思います。これであなたも明日から朝まで一回も目が覚めることなく、快適な毎日を送ることができます。

1.夜間頻尿とは

1-1.夜間頻尿と睡眠

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「夜間頻尿」で病院などに来る方の悩みは「熟睡できずに何度もトイレに起きる」「そのため昼間も眠気が強く、いつも眠い状態が続いている」という訴えです。

「トイレに行くために起きる」という場合もありますが、実際は夜間の1回の尿量は少なく、尿で目が覚めているというよりも、目が覚めるからトイレに行くという方も多いようです。

なぜ起きてしまうのか?排尿が原因なのか?睡眠が原因なのか?睡眠時無呼吸症候群といって熟睡できない病気もあります。小さな機械をつけて寝ると「無呼吸の秒数・寝返りの回数・いびきの回数・呼吸状態・酸素濃度」などがわかります。1泊~2泊の入院で排尿と睡眠の検査ができます。

1-2.夜間頻尿が引き起こす身体の不調・病気

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世界保健機構(WHO)は、健康寿命を延ばすために睡眠の重要性を述べていて、以下のような方は、がん・脳卒中・心筋梗塞・生活習慣病などにかかりやすく、死亡率が高いことが知られています。

 1.就寝後3時間以内に目が覚める
 2.3回以上目が覚める
 3.9時間以上寝ている

また、がんと睡眠の関係で言えば、睡眠に問題を抱えた男性の前立腺がんになるリスクは約2倍高いという研究結果が米国がん学会(AACR)よって報告されました。特に重症(悪性度が高い)の前立腺がん患者は睡眠障害が多く、睡眠に問題を抱えている人は重い前立腺がんになりやすくなります。

そのほか、睡眠障害は生活習慣病や認知症を増悪させるとの報告も多くあります。睡眠不足は精神情動作用にも関わりイライラ、物忘れなどにも大きく関わっています。

2.夜間頻尿の原因

2-1.夜トイレに起きないのはなぜ

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その理由は単純で、健康な人は寝ている時におしっこを身体の中で作っていないからです。脳は「寝た」と認識したら「尿」を作らなくする 「抗利尿ホルモン」を分泌します。これによって「尿」が貯まることがないため、尿意で目が覚めることがありません。

しかし、60歳を過ぎるあたりからこのホルモンの分泌が減少します。そうすると、夜中(就寝後)におしっこを作るようになり、夜中におしっこがしたくなる、おしっこに行かなくてはいけない状態になる、という仕組みです。しかも現代の社会は、食習慣や光環境の変化により、体内時計の乱れが生じやすくなっており、脳が「寝た」という認識をしにくくなっていることも一因としてあります。

1日の総排尿量のうち3分の1以上の量を、就寝後に作る方は「夜間多尿」という病気にあたります。極端な例では、起きているときは2回しかトイレに行かないのに、寝てからは5回もトイレに行くといった方もいらっしゃいます。

頻尿に悩み泌尿科を受信する患者さんの中で、水分の取りすぎが原因のケースが2割ほど見られます。必要以上の水分摂取が利尿頻度に影響しているわけですから、生活習慣を見直すだけでも改善される可能性があります。

水分の取りすぎ以外の、膀胱・前立腺に起因する夜間頻尿についてお話していきましょう。

2-2.夜間頻尿の大きな原因その1―過活動膀胱

過活動膀胱とは、意思とは関係なく急に尿意をもよおしたり、もれそう・あるいは尿漏れしてしまう症状が挙げられます。脳と膀胱を結ぶ神経伝達のトラブルが原因の場合と、前立腺肥大など神経伝達とは関係のないトラブルに大別されます。それ以外にもストレスなど心因性の尿失禁という場合もあります。頻尿の種別:夜間頻尿(夜に何度もトイレに行く)、頻尿(昼間のオシッコの回数が多い)、尿意切迫感(急激にくる尿意)、尿失禁(突然のもれ)など

過活動膀胱の原因は、膀胱の神経伝達がきちんと行われない、膀胱の壁の筋肉が固くなり伸び縮みが上手くいかない、などがありますが、特に膀胱の血の流れの低下(膀胱虚血 ぼうこうきょけつ)が原因の一つとされています。image00最近の研究で、膀胱内にある「C繊維」と呼ばれる神経が、血流低下(膀胱虚血)の状態になると刺激され、過活動膀胱の症状を起こすことが最近わかってきました。こうなると尿をゆっくりと大きく膀胱に貯めることができなくなります。本来C繊維は皮膚などにもある神経で、温かい、冷たい、痛いなどの感覚を感じとる神経です。
膀胱炎など炎症があると活性化して強く尿意を感じたり、冷えによって活性化するようです。

膀胱血流低下の原因の一つとして「動脈硬化」が挙げられます。動脈硬化とは、血管の弾力性が失われて硬くなったり、動脈内にさまざまな物質が沈着して血管が狭くなり、血液の流れが滞る状態をいいます。膀胱がこの状態になると大きくゆっくりと動けなくなり症状が出現するのです。

動脈硬化は脳卒中や心筋梗塞、過活動膀胱、男性ではEDを起こす原因とも言われています。年齢、運動不足、肥満(メタボ)などで動脈硬化は進むと言われ、危険因子としては、高血圧、脂質異常症(高コレステロール血症)、高尿酸血症が挙げられます。

夜に頻繁におしっこに行く以外に、昼間にトイレが近いのは、この過活動膀胱のせいかもしれません。過活動膀胱によって、旅行や映画などを「トイレが近くて楽しめない」と悩んでいる方は談所問わず少なくありません。

「1日に8回以上トイレに行く」「突然の強い尿意」「尿失禁(尿もれ)」などの症状が出る過活動膀胱は40歳以上の男女8人に1人がこれらの症状を有しており、患者数は、日本で約810万人にのぼると推定されています。 過活動膀胱かどうかの診断は問診(過活動膀胱問診票)と排尿検査によって可能です。

2-3.夜間頻尿の大きな原因その2―前立腺肥大症

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前立腺肥大症は、尿の通り道(尿道)をぐるりと取り囲んでいる前立腺が大きくなる事で、尿の通り道を押しつぶして(閉塞)、尿を出にくくしてしまう病気です。

前立腺肥大症は50歳以上の男性に多くみられ、年齢とともに進行し(慢性進行性)、自然に治癒(治る)することは無いといわれている厄介なものです。 尿を押し出す役目は膀胱が担います。膀胱も筋肉でできていて、身体の他の部分と同じように、筋力(押し出す力)は年齢とともに弱くなっていきます。

50歳を過ぎると、「通り道が狭くなり、押し出す力も弱くなる」という状態となり、膀胱は狭い道に送り出すために余分なパワーを必要とし、弱い筋力が更にヘトヘト、残尿など別の問題に発展していきます。過剰に緊張した膀胱が過活動膀胱の症状を引き起こし、前立腺をより硬直させ、排尿トラブルとなるわけです。前立腺肥大症で通り道が狭くなると、膀胱に過度の負担が掛かり硬く緊張した状態となりますから、夜間頻尿の他にも、先に述べた過活動膀胱や尿モレ(尿失禁)を起こしてしまいます。

この悪循環が長く続くと、排尿の問題ばかりではなく、「熟睡できない」「イライラする」「いつもトイレが心配」等の心配から自律神経に影響を与えて、身体の不調を多く抱えることに発展する可能性を潜めています。

3.夜間頻尿の対策3つ

3-1.排尿記録をつけよう

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「気持ち良く排尿できない!」と言っても、その原因は様々です。その原因を調べるためには、まず自分の排尿状態を把握することが重要になります。

夜間頻尿をはじめとした治療は、体操や電磁波治療、内服薬などがあります。ですが「夜何度もおしっこで起きてしまう」「おしっこが近い」と言う問診だけでは、正確な状況はわかりません。尿量が多く何度もトイレに行く場合と、少ししか出なくて何度も行く場合では、「オシッコが近い」と言っても原因は全く違うからです。あるいは、午前中に極端に尿量が多い人、就寝後にたくさん尿ができる(作られる)人など、その原因と病態は様々です。

排尿記録をつけることで、その人の尿のトラブルの特徴や傾向がわかり、診断や治療方針をたてやすくなります。

【排尿記録】
・24時間の排尿時間と排尿量
・就寝時間と起床時間
・尿失禁(尿漏れ)の有無

排尿記録をつけるのは、仕事のある日でなくてもかまいませんので、休みの日などを利用して記録してみることをオススメします(仕事の日に頻尿の症状が出る方もいますので、そのような方は仕事の日の記録と両方をつけるのがベターです)。泌尿器科によっては「排尿記録セット」を用意していますので、まずは泌尿器科を受診するのも最善です。

3-2.夜中のトイレを防ぐ、ラクラク頻尿解消法

加齢や血管の機能低下により、日中立っている間は足からの水分(血液)の戻りが悪くなり、一日の終わりには足がむくんできます。そして、夜になって横になると、足にたまった水分は静脈を通って大量に心臓に戻りますが、余分な血液は尿となって排泄されます。よって就寝後何度もトイレに起きることとなります。image00

この足のむくみをとるために、夕食前くらいの時間帯(就寝4時間前が理想で、夕食前としています)に、頭と足(ひざ)を心臓より高くして、テレビや雑誌を観ながら30分程度過ごします。時々、足首の曲げ伸ばしをするとより効果的です。

3-3.適度な水分摂取を

よく「オシッコの回数が増えるから水分摂取を減らす!」という方がいます。またその一方で「健康のため水分摂取を多く行っている!」という方もいます。これはどちらが正しいのでしょうか?

習慣的に水分摂取が少ない方は、腎臓の機能障害を起こすこともあり、逆に水分を取りすぎると、体内の電解質バランスが崩れ全身倦怠、胃腸障害、けいれんなどが起きることもあります。
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一部では水分を多く摂ると「血液がサラサラになる」などと言われています。しかしながら実際は脱水症状でなければ、水分摂取で血液粘稠度が低下する事はありませんし、過剰な水分摂取は夜間頻尿(何度もトイレに起きる)の原因になるばかりではなく、高血圧や心臓負荷の原因になります。

特に就寝前に必要以上に水分を摂取すると夜間に何度も起きる原因になるとされています。 では、どれだけ水を飲めばよいのかというと、(特に運動をしない状況下においては)一日に1000~1500ml程度なんですね。特に尿の色が無色透明の方は更にコップ1-2杯控えてもよいかもしれません。

水分摂取が少なく脱水になることはもちろんよくありませんが、「健康のため」と言って過剰に水分を取って夜間頻尿になっても健康を害することとなります。70歳以上の夜間頻尿の有無が寿命と大きく関係があると言われています。こまめな水分摂取を心がけましょう。

3-4.単なる加齢のせいにせず、近くの泌尿器科へ

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ここまで紹介した3つの対策は、あくまで自分でできる範囲のものです。しかしながら、夜間頻尿や残尿感といった排尿トラブルを「年のせいだから…」「恥ずかしいから…」「命に関わるものでもないし…」と自分で勝手に判断して、放っておくのは決して良いことではありません。

夜間頻尿などの排尿トラブルは年齢と共に症状が進んでいきますし、症状が重くなると、普段の生活にも支障が出て、生活の質が著しく低下してしまいます。少しでも気になるなら、お近くの泌尿器科に一度見てもらうと安心です。

4.まとめ

いかがでしたか? 夜間頻尿は緊急で対策をする必要はないと思ってしまうかもしれませんが、実際には肉体的、精神的ダメージが後から来るものです。

適切な早期治療で、夜間頻尿だけではなく残尿感なども改善されます。気になる事は早めにお近くの泌尿器科で相談なさる事をオススメします。

このページでお伝えしたことを参考に、ぜひ毎日を元気に過ごしていただければと思います。

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