勃起不全(ED)を引き起こす3つの原因とその治療法

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「性欲はあるのに興奮しても勃起しない」「勃起しても十分に硬くならない、長続きしない」「挿入しても柔らかくなって抜けてしまう」50歳を過ぎて、そのようなことが気になってはいませんか? あるいは「いつもダメなわけではないけれど…」という方もいらっしゃるかもしれません。ここでは勃起不全、いわゆるEDについて、その原因からどのような治療を行えばよいのかついてをご紹介します。これを読めばあなたも勃起不全(ED)は決して怖いものではなく、日々の心がけやお医者さんをうまく利用することによって不自由さを緩和したり改善できるということがわかります。勃起不全(ED)について正しく理解していきましょう。

1.勃起不全(ED)とは?

1-1.勃起不全(ED)の定義

勃起不全(ED:Erectile Dysfunction)は、日本性機能学会では「性交時に有効な勃起が得られないために満足な性交ができない状態」「通常性交のチャンスの75%以上で性交ができない状態」と定義されています。youtsu_01

性的な興奮を受けると、脳から神経を伝わりペニス内の海綿体に信号を送ります。すると海綿体に動脈血が沢山流れ込み、充満する事で勃起します。勃起状態が保たれてはじめて性交が可能となります。ですから勃起が起こらないケースはもちろんの事、その血液が途中で流れ出して萎えてしまう、いわゆる「中折れ」もEDといえます。実は、近年では成人男性の4人に1人はEDに悩んでいるというデータがあります。youtsu_01

1-2.EDを引き起こす2つの主な原因① 器質性ED

器質性(きしつせい)EDとは、動脈硬化のために血管内に十分な血液が流れ込ないためにEDになることを言います。そのため50代以上に多く、糖尿病、高血圧、高脂血症の方に併発されるという報告が数多くされています。割合としては、糖尿病患者の42%、高血圧患者の41.6%、高脂血症の患者さんの20%がEDを発生しているというデータがあります。

また、加齢にともなう動脈硬化の他に、喫煙、飲酒も血管に同様の負担をかけますので、EDの原因になり得ます。その他にも、脳出血・アルツハイマーなど神経系の病気もEDを引き起こす原因となります。

1-3.EDを引き起こす2つの主な原因② 心因性ED

心因性EDとは、仕事や夫婦関係にストレスを感じ神経の性的興奮がうまく伝わらずEDとなったり、性交がうまくいかなかった事がトラウマとなってEDを悪化させてしまうことを言います。

心因性EDは、心的なプレッシャーが原因で引き起こされる「現実心因」と、コンプレックスなどで引き起こされる「深層心因」の2つのケースがあります。現実心因とは、日常のちょっとしたパートナーの一言に傷ついたり、経済的な心配があったり、子供がほしいという事がプレッシャーになっているといった事に起因します。

心因性EDは仕事でストレスを抱えているといった事だけでなく、リラックスしようと意識しすぎるために、かえってうまくいかないという場合もあります。真面目な方や経験の少ない方は自分にプレッシャーをかけてしまい、緊張・不安・自信喪失と負のスパイラルにはまってしまう事が多いようです。また初めてがうまくいかなかったために不安が残ったり、不妊治療の際に排卵日を意識しすぎるなど、勃起しづらい状況が起こると自然と性交渉の回数が少なくなってしまう方もあります。

一方、深層心因とは子どもの頃からの蓄積された深い悲しみや恐怖、過度の緊張、本人にも分からないストレスなどの積み重ねによるものと分類されています。真相心因の場合、カウンセリング等で回復できる場合もありますが、原因を探し出すのに時間がかかる場合もあるでしょう。

心因性EDはどちらかというと30~40代の働き盛りの世代に多く、うつ病が原因で引き起こされることもあります。うつ病が原因でEDとなった場合は、まずうつ病の治療に専念することが先決です。

1-4.EDを引き起こす2つの主な原因③ 混合型ED

かつてはEDのほとんどは心因性に起因すると思われていましたが、様々なデータ解析や診療の結果、器質性あるいは心因性との混合というタイプがほとんどであるとわかってきました。混合型EDは、単純にストレス、あるいは年のせいではなく、生活習慣病に大きく関わっているという点に注目していきます。

特に50代以上には「隠れ生活習慣病」の方も多く、そのために「隠れED」の方も沢山いらっしゃるのが現実です。

この混合型の他にも、既に内服している薬の副作用がEDを引き起こしている場合もあります。特に脳内の神経細胞に作用する薬を服用している場合は、EDの原因となる可能性があります。その場合はかかりつけの医師に相談が必要です。

2.器質性EDを引き起こす病気

2-1.生活習慣病

EDは、先程もお伝えしましたように「年のせい」だけなく、メタボリック症候群のような生活習慣病も大きな原因となっています。加齢、喫煙、高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満、うつ病、前立腺肥大症、慢性腎臓病、睡眠時無呼吸症候群、神経疾患などが原因としてあげられます。また、服用中の薬剤による副作用が原因でEDとなる場合もあります。

つまりは血液を運ぶ血管が不健康であるために動脈硬化が起こるのですが、ペニス内の動脈は他の主要な血管よりも比較的細いため、その細い血管から先に動脈硬化の症状が現れてくるわけです。

日本泌尿器科学会では、EDは局所だけの疾患ではなく、全身疾患の一つとしてとらえています。現在EDの症状を発生している患者さんは500万人とも言われています。しかしながら実際に症状がありながら、病院にかかっていない方もあるでしょうから、実数はもっと多くの方が症状を抱えていると思われます。これはEDは恥ずかしいという先入観から周囲に隠したり、EDでも生活に支障は無いからと問題視していない方もいらっしゃるからかもしれません。youtsu_01

しかしながら、このようにEDは生活習慣病と深く関係しています。単に勃起不全なだけだと思っていたら、実は血管が不健康だったという可能性もなくはありません。EDの発症を健康のバロメーターと考えて、EDの症状が疑われる場合、自分の血管が健康に維持されているかどうかを気にしてみることをおすすめします。

2-2.生活習慣病以外の外傷

EDは、先ほどからお伝えしている生活習慣病だけでなく、前立腺がんや膀胱がんの摘出術を受けた場合、外傷では交通事故などによる骨盤骨折や脊椎損傷も原因となる場合があります。

近年ではガンの手術の際にも、勃起機能を残すために神経や血管をなるべく残す手術法をとる方針の医師も増えてきていますので、手術の際には十分話し合いを行うことをお勧めします。また、外傷の場合は麻痺等の後遺症の程度にもよりますが、時間の経過とともに治癒する場合もあります。

また、前立腺肥大症、前立腺炎や精巣静脈瘤などの泌尿器科系の疾患をお持ちの方は、治療薬の一部にEDを引き起こす薬剤が含まれていることもあります。慢性腎不全の方や血液透析を受けている方もEDになりやすいと言えます。

その他にも脳出血、脳腫瘍、脳外傷、パーキンソン病、アルツハイマー病などの疾患は、自律神経障害を起こすためEDの原因と考えられています。これらについてもリハビリテーション病院で性機能に関する相談を行う施設が増えつつあります。あるいは、椎間板ヘルニア、脊髄腫瘍、多発性硬化症などの疾患、生まれつきの病気により陰茎の形が性交に適さない場合などはEDの原因となる場合があるといえます。

こういった様々な健康に関する情報を複合的に見て、EDの状態をご自身の健康のバロメーターとする事ができますし、その都度かかりつけ医などに適切な指導を受ける事が可能となります。

2-3.器質性EDおよび心因性EDのセルフチェック

☑ その気があっても身体がついてこない。
☑ 以前うまくいかなかった、それ以降セックスしないようにしている
☑ 妻の出産後、その気になれない・・・
☑ 久しぶりすぎて出来ない・・・
☑ 相手が変わればうまくいくか?
☑ 特別疲れているわけでもないのに・・・

果たして自分はEDなのか、気付いているのに気づかないふりをしている、あるいは恥ずかしいから誰にも相談できないなど、きっかけは人それぞれだと思います。繰り返しお伝えしていますが、EDは決して珍しい症状ではありません。ありふれた症状ですので、心当たりのある方はこの機会にご自分で軽くチェックしてみてはいかがでしょうか。

3.EDになったら… 通院すべき科と治療

3-1.どの科に行けばよいのか? その診察内容

「EDの診察だから泌尿器科だろう」「かかりつけ医も無いしわざわざ行くのもためらわれる…」などと二の足を踏んでいる方も多いかもしれません。前立腺肥大など別の症状を持っている方は泌尿器科に直接相談にいらっしゃるのが早いかもしれません。

ですが、通常の健康診断の延長と思って内科で相談なさるのも方法です。実は形成外科(美容外科)でも診察・処方してくれますし、最近は男性更年期外来、ED専門の科もありますので、そういった所に通うのもよいでしょう。

デリケートな診察内容ですから受付や看護士さんが女性だったりすると、なんとなく見られたくないという意識が働きがちです。男性医師や男性スタッフが対応してくれる、さらには院内処方であるといった情報は病院選びのプラスポイントとして挙げられるかもしれません。

診察内容としては、基本的には問診が中心となります。泌尿器科や内科では排泄障害や糖尿病など他の病気の可能性を確認するために尿検査や血液検査をする場合があるかもしれませんが、いずれにしても通常EDの検査で触診はありません。

一番大事なのは、問診の際に照れてゆがんだ情報を伝えないという事です。ありのままを話す事で適切な処方を受けることが出来ます。また今までかかった事のある大きな病気、現在服用中の薬がある場合は内容を医師に伝える事も忘れないようにしましょう。薬の飲み合わせなどを考慮する必要があるからです。心疾患や高血圧などを服用中の場合は薬の処方が出来ない場合もあります。医師に直接ご相談ください。

3-2.薬の処方を受ける

EDの治療として一般的なのが薬の処方です。EDは勃起力を抑える酵素が過剰分泌されるために起こります。薬は勃起力を直接的に強めるのではなく、勃起を抑えてしまう酵素を分解し、間接的に勃起を助ける働きをしてくれます。この治療で血管内皮の状態を良くし、血管の機能回復・維持に役立っているという事もわかってきました。

薬の処方を受ける診察料はその病院によってまちまちですが、中には診察は無料という医院もあるようなので通える範囲の中で比較してみるとよいでしょう。基本的にEDの治療は自由診療なので薬の処方は自己負担になります。現在処方されている薬の1錠あたりの平均額は1,500円から2,000円です。

EDの薬を飲むと興奮が収まらないのではないか、という心配があるかもしれません。しかし処方薬はあくまで勃起を『助ける』事が目的の薬で、いわゆる精力剤とは違います。そのため服用後すぐに勃起するわけではなく、ある程度の性的刺激は必要となります。また薬を利用して勃起力が戻り、自信が持てるようになれば薬の量を減らしていく事が出来ますから、一生飲み続けるというご心配も無用です。

こういった加減なども医師の指導の下で行った方が安心ですので、インターネットなどで無作為に購入せず、ぜひとも医療機関でご相談ください。

3-3.医療機関で受ける薬以外の治療法

3-3.医療機関で受ける薬以外の治療法

医療機関で受ける薬以外の治療法としては、以下のようなものがあります。

①陰圧式勃起補助器具
陰圧式勃起補助器具は、薬ではうまくいかなかった、あるいは薬は使いたくないという方には有効な方法です。

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この器具は厚生労働省の認可を受けている医療用勃起補助具で「陰圧式勃起補助具」と呼ばれています。筒の中にペニスを入れ手動ポンプで吸引し、筒内を真空にする事で勃起状態を作ります。メリットとしては薬を使用せずに自然な勃起を得られる事、デメリットは使用時間が30分と限られている事が挙げられます。

②陰茎海綿体自己注射法(陰茎注射)
陰茎海綿体自己注射法は、陰圧式勃起補助器具では痛みがあってダメだった、あるいは薬の飲み合わせ的にED薬の処方が受けられないといった方への選択肢として挙げられます。これは自分で陰茎に直接注射をする方法で、早い人は5~10分で効果が現れ、約2時間持続します。日本性機能学会では、自主研究ということでそれぞれの病院の倫理委員会を通して積極的に行っていますが、国の認可が下りていないので自己判断・自費扱いになります。注射も1本が1万円程度、医師の指導の下で複数回の購入が必要となりますが、治療を行える施設はかなり少数で、原則は自己注射も認められていません。処方してくれる医院も少ないので事前にお調べになる事をお勧めします。

③陰茎プロテーシス挿入手術
陰茎プロテーシス挿入手術は、処方薬も効かず、上述のいずれの器具・注射も効かなかったという場合にのみ提案される方法です。陰茎プロテーシスというシリコンをペニスに挿入し、必要なときに勃起できるようにするという手術です。この手術は自費のため高額であること、一度挿入したら後戻りはできないこと、将来的に合併症などが起こる可能性もあること、など考慮すべき事が多い手術と言えます。

④超音波治療
超音波により血管内皮を刺激して血流を戻すという方法です。痛み、出血、副作用とは無縁ですから第二のED治療の道となる可能性はありますが、治療費はまだまだ高額です。一般普及するまでは時間がかかると思われます。

3-4.医療機関に頼らない方法

EDの原因の大元は血行不良であるという事はすでにここまでお読みいただいてご理解いただいているはずです。特に喫煙は血管を狭める敵ですから、まずは禁煙。そして高血圧・糖尿病など心疾患はEDのリスクを上げますからバランスの取れた食事を心がけ、お酒もほどほどにしましょう。

栄養分としては、特にビタミンDの摂取が大変有用だと言われています。ですので、きのこ類、鮭、しらす、卵、レバーなどを意識的に食べるようにするとよいでしょう。

それから、お日様に当たって適度な運動も有効です。日に当たる事でビタミンDが自然に合成されますから、ウォーキングなど健康的に過ごす事がプラスに作用します。

②スクワット
EDの敵ともいうべきなのは、骨盤底筋群の衰えです。骨盤底筋こそが、海綿体に流れ込んだ血液を留めておく働きをしてくれるのですが、ここが弱っていると血液が流出してしまい持続しないという結果になります。実はこの骨盤底筋は衰えるのがとても早く、特にデスクワークの人はこの筋肉がゆるみがちです。

ここでは、コツコツできる正しいスクワットをご紹介します。

・脚を肩幅に開く
・両手は首の後ろで組むか、前方にまっすぐ出す
・背筋をまっすぐに伸ばしたまま膝をまげ、尻を下げていく
・太ももが床と平行になったら動きを停止し、膝を伸ばして上体を持ち上げる
・立ち上がるときは両足をぴんと伸ばす

※引用元 出典スクワット(3) 効果的なスクワットのやり方: 男性の健康大事典
http://www.menslabo.com/archives/2005/09/post_163.html

4.まとめ

同じEDという症状でも若いカップルの場合は、仕事が忙しい、子供が出来るかどうかなど心的プレッシャーを伴う事も多いでしょう。中年以降になると、別に子供が欲しいわけではないとか、奥様との生活がマンネリ化しているなどED治療をする最初の一歩を踏み出すきっかけがつかめない事が多いかもしれません。

EDである事を問題視せず、解決を先送りにした為にカップルとしての信頼関係が薄れてしまったり、愛情表現が淡白になったり、コミュニケーションが徐々に減ったりして、二人の関係が悪化し、最悪は別れを迎えるというケースも往々にして見受けられます。

あなたのパートナーは何気ないスキンシップから深い愛情を感じ取っています。男性にとっては、勃起するという事そのものが男としての自信につながるものです。EDの処方箋を受けたとしても、それがきっかけで男としての自信を取り戻せるのなら、それは人生をより楽しいものにする素晴らしい投資と考えられるでしょう。

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